労災で会社に慰謝料500万円要求しながらパチンコ三昧、作業員vs社長の顛末4
● 作業員仲間の証言で 金子の過去が明らかに
早川がこの件について作業員仲間に話したところ、金子を知っているという作業員がいた。
「あいつは、前の会社でも同じようなことをしてたなあ。自分からわざとケガをして、労災に持ち込んでいるんだ」
仲間の話では、以前に勤めていた会社でも、同じようにわざとケガをして、会社からお金をもらったり、不正な保険請求をしたりして、トラブルになっていたことがある。さらに多額の借金も抱えているらしく、職も住居も転々としているとのことだった。
建設現場は人手不足で、従業員を選んでいられない。時には、金子のように労災事故にかこつけて、理不尽な要求をしてくるトンデモ社員が入社することもある。
法令に則って事故防止に配慮した安全対策を行い、過重労働が起こらないように労務管理を徹底するなど、万が一の労災があった場合にも会社側に落ち度がないよう、しっかり対策しておくことが必要だ。
また、事故の程度に比べて、療養期間が長いと思うような場合は、本人の同意を得た上で、会社と本人と医師で面談を行い、療養期間について医師の見解を直接聞いたり、会社が別の医師に診断してもらうよう勧めるのも一つの方法だ。医師によって診断内容が大きく違う場合などは、本人が嘘の症状を訴えている可能性もないとは限らない。
いずれにしても、金子のようなトンデモ社員に理不尽な要求をされた時、会社側が慌ててしまえば相手の思うツボ。関係者からの評判を聞いたり、社員の日常行動の情報を把握したりして証拠固めをしっかり行いながら、堂々と対峙できるよう、対策を講じる必要があると思う。
※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。
石川弘子
本当にある話です。
ご注意くださいね。